2014年04月05日

“民主主義国家”だからこそ歴史認識問題は日本政府が手を引くだけでは解決できない

4月4日の朝日新聞朝刊に「(インタビュー)アベノミクスと隣人外交 元駐日カナダ大使、ジョセフ・キャロンさん」という記事が掲載されていました。

記事では、「駐日歴17年、日本だけでなく、中国、インドでも大使を歴任した元カナダ外交官」のジョセフ・キャロン氏に安倍政権の経済政策や外交政策についてインタビューをしています。

キャロン氏は、安倍政権は経済政策において「素晴らしい好機を手にしている」にもかかわらず、無用に中韓を刺激する外交姿勢が足枷となり観光や貿易などの経済に打撃を与えかねないとして、次のように指摘しています。
 歴史認識問題からは、もう離れましょう。歴史論争は、韓国と中国を逆に利しているように見える。アジアの国々の中で最も重要なソフトパワーを持っているのが日本ですが、その力をそいでいます。刺激を与え続けさえしなければ、論争は次第に消えてなくなるはずです。そして、中国の勃興という現実にどう向き合うかという、本当に大切なことに焦点を当てることができる。

朝日新聞が引き出したかったのはまさにこの発言だったと思いますが、歴史認識問題は単に政府が「離れ」たり「刺激を与え続けさえしなければ」済む問題ではありません。

日本は中国とは違って民主主義国家です。
歴史に対する評価についても国民1人1人が違った意見を持っています。

たとえ政府が歴史認識問題を持ち出すのを止めたとしても、それを良しとしない一部の国民が政府に異議申立てをしたり、反中・反韓デモなどのより過激な行動に出ることは間違いありません。

そうなると中韓政府はそれらの行動を問題視し、その過激な行動を取り締まらない政府を含めて反日姿勢を強めることになるでしょう。
しかしながら民主主義国家である日本では、歴史認識などの思想・信条にかかわることについて政府の方針に従えと国民に強いることはできません。

つまり、まず日本の国内において右も含めて歴史認識問題から手を引くというコンセンサスが得られない限り、政府だけが手を引いても意味がないのです。

その点、手が引けないという意味では中韓政府も同じです。
両国政府は反日政策を政権の求心力保持に最大限利用しているため、振り上げた拳を降ろすインセンティブを持っていません。

したがって日本が一方的にそこから「離れ」るだけでは、歴史認識問題を解決することはできません。

正直に言って日中韓の歴史認識問題は、既に他国の外交官の一般論が参考になる次元を超えていると思います。

ましてキャロン氏のようにアメリカとカナダの関係から類推して日中関係を論じても、“確かに似たような部分はあるが、違うところは違うな”ということを再確認するだけで、あまり意味があるように思えません。
しかも、得てしてその“違うところ”が問題の肝だったりすることが多いのです。

歴史認識問題については、まずは民主主義国家らしく国内で十分な議論を深める必要があると思います。

奇しくも戦後長きにわたってタブーとされてきた憲法改正や集団的自衛権に関する問題が自由に議論できる時代になったわけですから、歴史認識についてもタブーを設けず徹底的に議論すべきです。

国会はもちろん、テレビなどのメディアや大学などあらゆる言論の場において議論を戦わせ、その過程をあらゆるメディアで公開し国際的にも発信すれば良いのです。

そして、“日本は国を挙げてこんなに一生懸命議論をしているんだ”、“中韓寄りの意見を持っている日本人も少なからずいるんだ”、ということを中韓国民に知らしめるのです。

民主主義国家において政治的、思想的な側面が強く表れる歴史認識をたった1つの認識(政府の談話や方針)に集約することは端から不可能です。

そのことを国民が自覚した上で徹底的な議論を行うことが重要で、結果的に平行線のままでも良いのです。
少なくとも“歴史認識問題で何らかの決着を付けようとする方が愚かなんだ”ということが示せればそれで十分です。

単なる思考実験に過ぎませんが、ここまで各国間でも国内でも意見が対立している問題について我々ができるのは「議論し、それを公開すること」しかないと思います。


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