2014年04月07日

世論調査を鵜呑みにしてはいけない〜朝日新聞の世論調査に見る誘導質問〜

4月7日の朝日新聞朝刊に、同紙が行った憲法に関する世論調査の結果を報じる記事が掲載されていました。

記事によると、
 集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が昨年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回った。憲法9条を「変えない方がよい」も増えるなど、平和志向がのきなみ高まっている
とのことで、概ね朝日新聞の主張に沿った結果が出たようです。

一般的に新聞社の世論調査は、きちんとした調査方法で行っているにもかかわらず、その新聞社の主張に近い結果が出やすいものです。
自民党が与党のときの内閣支持率で言えば、朝日・毎日・東京は低めに、読売・産経・日経は高めになります。

明らかにおかしい話なのですが、メディアを牛耳っているのが新聞社なのでいまだにあまり議論になっていません。

よく使われるのが、質問文の中に回答者の印象を操作するような言葉を入れて、自紙の主張に沿った選択肢を選ばせる”誘導質問“という手法です。

残念ながら、今回の朝日の世論調査についても、いくつか誘導質問と思われる部分が見受けられたので、指摘しておきます。

まず、最初の方に出てくる次の3つの質問です。
 自分の意見が政治にどの程度反映されていると思いますか。

 いまの日本社会で一人ひとりの個人がどの程度大切にされていると思いますか。
→まず一番目の質問ですが、そもそも国民一人ひとりの年齢や職業やライフステージは千差万別なので、そこから湧出される「自分の意見」も様々です。しかも現実世界で、全国民の意見を満遍なく反映させる政治というのはあり得ないですし、人間は普通に生きていれば大なり小なり何かしらの不満を持っているはずなので、「反映されている」と答える人は当然少なくなります。
また、二番目の質問は一番目の質問の趣旨を違う言い方で表現したものとも言えます。したがって、回答者には“意見が反映されていない=大切にされていない”という二重の否定を結びつける効果があると考えられます。
これは、序盤の質問で政治や社会に否定的な印象を残すことにより、現政権に対して実は態度を決めかねていた回答者の思考に無意識的にネガティブな枠をはめ、以後の質問でも現政権に批判的な回答をさせようと誘導している可能性があります。
面白いことに一番目の質問に対しては、民主主義国ではない中国で「反映されている」と答えた人が多く、皮肉にもこの質問が言論の自由の強弱が露呈してしまったようです。

お次は典型的な誘導質問の例です。
 日本には、核兵器を「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」という非核三原則があります。この非核三原則をどうすべきだと思いますか。
→これは今現在まったく議論になっておらず、さらに否定的な意見を持つ人が明らかに少ないと想定される「非核三原則」についての質問をし、それに対して「維持すべき」という回答を引き出すことにより、次に来る同じような“原則”に関する「日本は武器の輸出を原則として禁じてきましたが、最近は認めるケースが増えています。武器輸出の拡大に賛成ですか。反対ですか。」という質問でも“維持”=「反対」と回答させるように誘導していると言えます。

続いては今回の記事の見出しになっている“集団的自衛権行使”の賛否に関する質問に関連する部分です。
実はこの質問の直前にも非常に巧妙な誘導質問を挿入しています。
 日米安保条約をめぐる日本とアメリカとの関係について、あなたの考えは次のどちらに近いですか。

 アメリカには日本防衛の義務があるのに、日本にはアメリカ防衛の義務がなく、不公平だ
 日本はアメリカに米軍基地や多額の駐留費用を提供しており、不公平ではない
こういう質問の場合、普通であれば「どちらでもない」や「公平だ」という選択肢も置くべきであるにもかかわらず、“次のどちらに近いか”という幅を持たせた聞き方で2択へのハードルを低くした上で、集団的自衛権行使を前提とした前者の回答を極端な文言にすることにより、後者の回答に誘導しようとしていることが読み取れます。

以上が目立った誘導質問の例ですが、つぶさに見ていけばもっと巧妙に仕掛けられている可能性もあります。

そもそも世論調査の結果を“有権者はこういう傾向だ”と自紙の主張を補強するために使うのであれば、むしろより疑念を持たれにくい調査にすべきだと思います。

そうでなければ、新聞社の世論調査が誰からも信用される一級の情報として評価される日は永久に訪れないでしょう。

紙面の割き方に違いはあれど、自紙が行った世論調査の結果を載せなければならない以上、自らの主張が世論に受け入れられていることを示したいと思うのが新聞社の生態なので、誘導質問を止めることは難しいでしょう。
しかも、どれがどう誘導に結び付くかを客観的かつ数量的に示すのは容易ではないため、“誘導などしていない”と突っぱねることも可能です。

したがって、あり得る対応としては、読者の側が世論調査の結果を額面通り受け取ることの危険性を自覚し、当面は単なる参考情報の1つとして冷静に見定めることに尽きると言えます。


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