2014年05月01日

自治体による護憲後援拒否は当然

5月1日の朝日新聞の社説は「護憲後援拒否 霞を払い議論をひらけ」と題し、「昨年から、自治体が『護憲』にまつわる行事の後援を拒否するケースが相次いでいる」ことを批判しています。
千葉市は1月に開かれた集会の後援申請を断った。「自民党の改憲案で何が変わるか」という講演が予定され「国民的な議論がある問題で、主観的な考えを述べる講演会と判断した」。
 神戸市は、憲法記念日に開かれる護憲集会の後援を断った。実行委員会によると「政治的中立性を損なう可能性がある」が理由だったが、過去2回は後援を受けていたという。

ここで紹介されている千葉市の集会については、東京新聞の記事でも取り上げられおり、なぜ千葉市が後援を断った理由を金親芳彦市民局長が次のように説明しています。
 後援とは、趣旨に賛同し応援することだ。市が憲法改正について賛成、反対どちらかを応援するわけにはいかない

 市民と平和を共有できるイベントは拒否しない

まさにこのとおりで、憲法改正が政治的論点になっている今、一方の立場からのみ述べられる講演を自治体が支援することはあり得ません。

神戸市では「過去2回は後援を受けていた」としていますが、それは当時はまだ憲法改正が具体的な論点として挙がっていなかったからでしょう。

朝日新聞の社説では、
 政治的中立とは何か。主観的考えを述べない講演があり得るのか。
と論点を一般化していますが、この千葉市の「自民党の改憲案で何が変わるか」という講演を行ったのは言わずと知れた伊藤塾塾長の伊藤真氏です。

伊藤氏は2013年だけで自民党憲法改正草案に関する著作を4冊(『赤ペンチャック 自民党憲法改正草案』『憲法は誰のもの?―自民党改憲案の検証―』『憲法問題 なぜいま改憲なのか』『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』)も出しており、自民党の憲法改正草案を批判的な立場から述べることは火を見るよりも明らかです。

したがって、こういった講演を千葉市が支援することによっていらぬ誤解が生じかねないと懸念するのは当然です。

社説では、
 異論が出て、議論が交わされることで社会は強く、豊かになるのである。自治体はむしろ面倒を引き受けるべきだ。
 議論を開き、拓いていく。その役割を自治体が担ってこそ、社会の霞は払われるのだ。
と格好良いことを述べていますが、千葉市や神戸市で行われたのはあくまで護憲という片方の立場にいる人たちのための集会であって、「異論が出て、議論が交わされる」場ではないのです。

だからこそ政治的中立が損なわれる可能性が危惧されるのです。

朝日の論説委員も当然そのことは分かっているはずで、意図的に論理のすり替えをしていると思われます。

さらに社説では苦し紛れに意味不明な論法を持ち出しています。
 憲法99条はこう規定している。「天皇又(また)は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」
 憲法擁護義務を負う公務員が、憲法を守ろうという趣旨の集会の後援を拒否する。なんとも不可解な現象である。

権力を縛るものとして定められた憲法の規定を遵守しなければならないという意味の「憲法擁護義務」と、憲法改正という政治的イシューに対して中立を保とうとすることはまったく次元の異なる話です。

この論理が通用するのであれば、安倍首相を始めとする国会議員はそもそも憲法改正を発議できないことになりますし、「憲法擁護義務」を負う公務員は憲法改正の国民投票では常に反対票を投じなければならないことになります。

自紙のイデオロギーに固執するあまり、論理が完全に破綻していることにすら気づかなくなっているようです。

私もそうですが、世の中にはイデオロギーには共感しないものの、論理的に正しければその意見に賛成するという人は少なからずいるはずです。

しかしながら、朝日新聞はイデオロギーを守る方を優先し論理的正しさを放棄しているように見えます。

これではなかなか若い人にまで共感の幅を広げることは難しいのではないでしょうか。


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